自分で口にしてみると、急に恥ずかしくなった。
顔が熱い。
今まで普通に話していたことが、急に特別なことに思えてくる。
朝の挨拶も。
一緒に歩くことも。
名前を呼ばれることも。
全部、好きな人とすることだったんだ。
そう考えたら、今まで何とも思わなかったことまで気になってしまう。
放課後。
いつものように蓮が迎えに来た。
「結菜、帰ろ」
「……うん」
いつもと同じ声。
いつもと同じ表情。
なのに。
好きだと分かってしまった今は、全然違って見える。
一緒に歩き始める。
肩が少し近づくだけで、緊張する。
「今日、静かじゃない?」
「え?」
「なんか考えてる?」
「ううん」
本当は、蓮のことを考えている。
すぐ隣にいる蓮のことばかり。
「そっか」
それ以上聞かずに、蓮は歩いていく。
その優しさに、また胸が熱くなる。
今までだったら、何も考えずに隣を歩いていた。
でも今日は違う。
好きな人が隣にいる。
その事実だけで、どうしていいか分からなくなった。
