隣に並んで歩く。
「昨日、ちゃんと寝た?」
「寝たよ」
「ほんと?」
「ほんとだって」
蓮が笑う。
その横顔を見ながら、私は少しだけ黙った。
最近、蓮のことをよく見ている気がする。
笑った顔。
話しているときの声。
歩く速さ。
私が少し遅れると、自然に待ってくれるところ。
寒いときには気づいてくれる。
重そうな荷物を持っていると、何も言わずに持とうとしてくれる。
今までだって、ずっとそうだった。
なのに。
最近は、その一つ一つが嬉しい。
「結菜?」
「え?」
「どうした?」
「ううん。なんでもない」
慌てて前を向く。
心臓が少し速くなっている。
どうしてだろう。
ただ蓮を見ていただけなのに。
学校に着いてからも、気持ちは落ち着かなかった。
授業中、ふと窓の外を見る。
廊下を蓮が歩いているのが見えた。
それだけで、また嬉しくなる。
私はペンを持ったまま、ぼんやり蓮の後ろ姿を目で追っていた。
そして。
ふと、昨日までとは違う考えが浮かんだ。
