家の近くまで来ると、いつものように帰り道が分かれる。
今日もあっという間だった。
もっと話していたかった。
もう少しだけ一緒にいたかった。
そう思った瞬間、結菜は自分の気持ちに驚いた。
今までも何度も一緒に帰ってきた。
でも、「もう少し一緒にいたい」と思ったことなんて、こんなにはなかった。
「また明日」
蓮がいつものように手を上げる。
「うん。また明日」
結菜も笑って手を振る。
蓮が歩いていく。
その背中を、結菜はしばらく見つめていた。
姿が見えなくなってから、ようやく家へ向かう。
玄関を開けても。
部屋に入っても。
今日の帰り道のことが頭から離れなかった。
コンビニで笑ったこと。
お菓子を分けたこと。
何気ない会話。
どれも特別な出来事じゃない。
なのに、思い出すと嬉しくなる。
ベッドに座って、結菜はぼんやり天井を見上げた。
――明日も会える。
そう考えただけで、自然と笑ってしまう。
そして、ふと思った。
私はいつから。
蓮と会うことを、こんなに楽しみにするようになったんだろう。
答えは出なかった。
まだ、恋だとは思えない。
でも。
「蓮に会いたい」
その気持ちだけは、もう隠せなくなっていた。
結菜は枕に顔を埋めて、小さく笑った。
明日もまた、蓮に会える。
そのことが、今はただ嬉しかった。
