次の日の朝。
教室に入った結菜は、いつものように自分の席へ向かった。
そして、鞄を置くより先に教室の後ろを見る。
蓮はもう来ていた。
席に座りながら、スマホを眺めている。
その姿を確認しただけで、結菜の気持ちは少し軽くなった。
最近は、それが当たり前になりつつある。
教室に入ったら、まず蓮を探す。
姿を見つけると安心する。
自分でも少しおかしいと思う。
「おはよう、結菜」
声をかけられて振り返る。
蓮がいつの間にか近くまで来ていた。
「おはよう」
「今日、早いな」
「そう?」
「うん。いつもより少しだけ」
言われて時計を見る。
確かに、いつもより早く学校に着いていた。
「……なんとなく早く起きたの」
本当は、昨日の夜から少し楽しみだった。
今日も蓮に会えることが。
でも、それを言うのはなんとなく恥ずかしい。
「そっか」
蓮はそれだけ言って、自分の席へ戻っていく。
結菜も席に座る。
たった数分の会話。
それなのに、朝から気分がいい。
今までは、一緒に帰れるかどうかなんて気にしたこともなかった。
今は、朝から「今日は一緒に帰れるかな」と考えている。
その変化に気づいて、結菜は小さく息を吐いた。
自分でも知らないうちに。
蓮と過ごす時間が、少しずつ「楽しみ」になっている。
