帰り道。
いつものように蓮の隣を歩いている。
夕方の道には、学校帰りの生徒がちらほらと見える。
何度も歩いた道。
何度も隣にいた人。
それなのに、最近は少しだけ景色が違って見える。
隣を歩く蓮の横顔を、結菜は何度も見てしまう。
長いまつ毛。
少しだけ伏せられた目。
歩くたびに揺れる髪。
昔から知っていたはずなのに、こんなふうに見るようになったのは最近だ。
蓮が何か話すたび、その声に耳を傾ける。
笑うと、その顔を見たくなる。
名前を呼ばれると、嬉しくなる。
ただ隣にいるだけなのに、心が落ち着いたり、逆に騒がしくなったりする。
自分の中で何かが少しずつ変わっている。
そのことだけは、もう分かっていた。
でも、その変化に名前をつけることはできなかった。
恋なんて。
そんな簡単なものじゃないと思っていた。
もっと特別で、もっと分かりやすいものだと思っていた。
だから、今のこの気持ちはきっと違う。
そう思いたい。
けれど。
蓮の隣を歩きながら、結菜はそっと口元を緩めた。
今日も一緒に帰れて嬉しい。
明日も会えたらいい。
また一緒に帰りたい。
その気持ちは、日に日に大きくなっている。
まだ自分では気づいていない。
けれど、結菜の中ではもう少しずつ。
幼なじみだった蓮が、ただの「いつもの存在」ではなくなり始めていた。
