放課後。
教室に残っていた結菜は、窓の外を眺めながら蓮を待っていた。
夕方の光が教室に入り込み、机の上に長い影を作っている。
いつもなら、蓮が来るまで友達と話したり、スマホを見たりして時間を潰している。
でも今日は、何をしていても落ち着かなかった。
一緒に過ごした時間を思い出してしまうからだ。
ゲームをしているときの蓮。
笑っていた蓮。
自分の手にカイロを渡してくれた蓮。
思い出すたび、胸の奥がくすぐったくなる。
自分も同じなのだろうか。
蓮といる時間が好き。
一緒に帰るのが嬉しい。
会えないと寂しい。
蓮が笑っていると嬉しくなる。
もっと知りたいと思う。
それは、幼なじみだからなのだろうか。
それとも――。
「……」
そこまで考えて、結菜は首を横に振った。
考えすぎ。
きっとそう。
今までずっと一緒だったから、最近になって改めて蓮のことを意識するようになっただけ。
そうに決まっている。
それなのに。
教室の入り口に蓮の姿が見えた瞬間。
結菜の表情は自然と明るくなった。
そのことだけは、自分でも誤魔化せなかった。
蓮がこちらへ歩いてくる。
その姿を見ているだけで、心が少し軽くなる。
結菜は小さく笑った。
――やっぱり、蓮が来ると嬉しい。
その理由だけは、まだ分からなかった。
