昼休みになり、結菜は友達と一緒に廊下へ出た。
購買へ向かう途中、前から蓮が歩いてくるのが見えた。
友達と話しながら歩いている。
結菜は自然と足を止めそうになった。
別に、何か用事があるわけじゃない。
ただ、姿を見つけると目で追ってしまう。
それが自分でも少し恥ずかしかった。
蓮は結菜に気づくと、いつものように軽く手を上げた。
それだけで、顔が緩みそうになる。
結菜も小さく手を振り返した。
すれ違うだけ。
たったそれだけなのに、その後もしばらく蓮のことが頭から離れなかった。
最近は、こういうことが増えている。
朝、教室に入ったとき。
休み時間に廊下を歩いているとき。
放課後、帰る準備をしているとき。
気づけば蓮を探している。
そして、見つけると安心する。
会えないと少し寂しくなる。
話せると嬉しい。
近くにいると、心が落ち着かない。
その全部が、少しずつ積み重なっていた。
「……なんでだろ」
自分でも分からない。
幼なじみだから。
小さい頃からずっと一緒だから。
だから、気になるだけ。
きっとそうだ。
そう思おうとする。
けれど、以前の自分ならこんなふうに悩むことはなかった。
蓮が誰と話していても気にしなかった。
どんな顔をしていても、ただの幼なじみとして見ていた。
今は違う。
蓮のことを、前よりずっと細かく見ている。
そのことに気づいてしまって、結菜は小さく息を吐いた。
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