帰り道。
信号待ちをしている間、私はまた蓮に質問した。
「蓮ってさ」
「まだある?」
「まだある」
「何?」
「好きな音楽は?」
「結菜、今日どうしたの」
「いいから答えて」
蓮は少し笑ってから、いくつか名前を教えてくれた。
私が知らない曲もあった。
「今度聴いてみようかな」
「結菜には合わないかも」
「なんで?」
「たぶん途中で寝る」
「ひどい!」
また笑う。
そんなやり取りが楽しかった。
いつもなら、帰り道は学校の話やくだらない話をして終わる。
でも今日は違った。
蓮のことを聞いて。
私のことも話して。
知らなかったことを少しずつ交換していく。
それが思っていたより楽しかった。
「じゃあ、次は俺が質問する」
蓮が言う。
「え?」
「俺も結菜の知らないこと知りたい」
「私の?」
「うん」
「そんなのある?」
「あるだろ」
そう言って笑う蓮を見て、胸が少しだけ熱くなった。
私だけじゃない。
蓮も、私のことを知りたいと思ってくれている。
それが嬉しかった。
理由は分からない。
ただ。
もっとこうして話していたいと思った。
