「じゃあ、苦手なものは?」
「辛いの」
「えっ、意外」
「なんで」
「蓮、なんでも食べられそうだから」
「無理なものは無理」
そう言って、蓮が少し笑う。
その顔を見て、私も笑った。
「じゃあ、怖いものは?」
「特にない」
「本当に?」
「結菜よりはないと思う」
「ちょっと!」
私が睨むと、蓮は楽しそうに笑った。
こういう顔。
昔から知っているようで、最近は少し違って見える。
「じゃあ……好きな季節は?」
「冬」
「冬なんだ」
「結菜は?」
「私は春かな」
「なんで?」
「暖かくなるし、新しいことが始まる感じがするから」
「ふーん」
蓮はそれ以上何も言わなかったけれど、少しだけ考えるような顔をしていた。
「蓮は?」
「寒いほうが好きだから」
「それだけ?」
「あと、冬は結菜が寒がるから」
「……え?」
思わず足が止まりそうになる。
蓮は何でもないことみたいに前を向いている。
「どういう意味?」
「いつも寒いって言ってるじゃん」
「ああ……」
そういうことか。
なんだか少しだけ拍子抜けして、でも同時に嬉しくなった。
私のことを、よく見ている。
そんなことを改めて感じた。
