幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い



 公園へ向かう道を、蓮と並んで歩く。

 夕方の空は少しずつ暗くなっていて、風もひんやりしていた。


「寒くない?」

「大丈夫」

「ほんと?」

「うん」


 そう答えたけれど。

 本当は少しだけ寒かった。

 すると蓮が、自分の制服のポケットから手を出した。


「これ使う?」

「え?」

「カイロ」

「持ってたの?」

「朝、寒かったから」


 蓮が小さなカイロを私に差し出す。


「いいの?」

「うん」

「ありがとう」


 受け取ったカイロを両手で包む。

 じんわりと暖かい。


「……あったかい」

「ならよかった」


 蓮は何でもないように前を向いている。

 でも。

 こういうところが、やっぱり優しい。


「蓮ってさ」

「ん?」

「昔からこうだったよね」

「何が?」

「私が寒いって言ったら、何か貸してくれたり」

「そうだっけ」

「そうだよ」

「覚えてない」

「私は覚えてる」


 蓮が少し笑った。


「結菜、昔から寒がりだったから」

「そうだった?」

「うん」

「じゃあ、私のこと結構覚えてるんだね」


 何気なく言った。

 すると蓮が、少しだけ黙った。


「……まあ」


 その返事が、なぜか嬉しかった。