放課後。
私は教室で蓮を待っていた。
昨日はひとりだった。
だから今日は。
いつもより、蓮と帰れることが嬉しい。
「結菜」
「蓮!」
教室のドアから顔を出した蓮を見る。
「帰ろ」
「うん」
鞄を持って、隣に並ぶ。
学校を出て、いつもの道を歩く。
「今日、楽しかった?」
「うん」
「何が?」
「……蓮と一緒にいられたから」
言ってから。
「……!」
私は自分で驚いた。
何を言ってるんだろう。
蓮も少し驚いた顔をしていた。
「……そっか」
「忘れて!」
「なんで」
「恥ずかしいから!」
「俺は嬉しいけど」
「……」
まただ。
最近、蓮はこういうことをさらっと言う。
そのたびに。
胸が苦しいくらい、嬉しくなる。
「結菜」
「ん?」
「今日、こっち通って帰らない?」
「こっち?」
「公園のほう」
「いいよ」
いつもの帰り道から少しだけ外れる。
夕方の道を、ふたりで歩く。
隣にいる蓮を見上げる。
昨日会えなかっただけで寂しかった。
今日会えたら嬉しかった。
一緒に帰れるだけで、幸せだった。
そして今。
もっと一緒にいたいと思っている。
「……」
私はそっと前を向いた。
もしかしたら。
私が蓮に感じているこの気持ちは。
もう、ただの「幼なじみ」じゃないのかもしれない。
そんな考えが、初めてはっきりと頭に浮かんだ。
