学校へ向かう途中。
私は昨日のことを思い出していた。
『今日、結菜いないと変な感じした』
あのメッセージ。
思い出すだけで、また胸が温かくなる。
「……」
「結菜?」
「え?」
「さっきから静か」
「そう?」
「うん」
「ちょっと考え事してた」
「何?」
「秘密」
「また?」
「また」
蓮が少し笑った。
「最近、秘密多いな」
「蓮だって教えてくれないじゃん」
「何を?」
「この前の『かわいい』ってやつ」
「……」
言った瞬間。
蓮が黙った。
「やっぱり言ったんだ」
「……何の話?」
「ごまかした!」
私は蓮の顔を見る。
蓮は少しだけ視線を逸らしていた。
「聞き間違いじゃなかったんだ」
「……忘れて」
「なんで?」
「恥ずかしいから」
「蓮でも恥ずかしいことあるんだ」
「ある」
「意外」
「結菜はないの?」
「私は……」
考える。
「いっぱいあるかも」
「例えば?」
「今とか」
「今?」
「蓮とこういう話してるの、ちょっと恥ずかしい」
そう言うと、蓮が一瞬だけ黙った。
「……俺も」
「え?」
「同じ」
その一言で。
また胸が大きく鳴った。
