朝のホームルームが終わった頃。
私は机の上に教科書を並べながら、昨日のことを思い出していた。
蓮にもらったお菓子。
帰り道にした会話。
そして、何度も呼ばれた自分の名前。
――結菜。
昔から、蓮は私のことをそう呼ぶ。
小さい頃からずっと。
特別な呼び方でもないし、珍しいことでもない。
それなのに。
最近は、その名前を呼ばれるたびに少しだけ胸が騒ぐ。
「結菜」
ちょうどそのとき、後ろから声がした。
びくっとして振り返る。
「蓮?」
「これ、昨日のプリント」
差し出された紙を受け取る。
「あ、ありがとう」
「今日提出だから」
「危なかった……」
ほっとしてプリントを見る。
蓮はそれだけ伝えると、自分の席へ戻っていった。
私はその後ろ姿を見ながら、さっき呼ばれた名前を思い出していた。
ただ名前を呼ばれただけ。
それなのに。
どうして、こんなに意識してしまうんだろう。
