幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い


 昼休み。

 私は友達と一緒に廊下の窓際でお弁当を食べていた。


「ねえ、結菜」

「ん?」

「最近、蓮のこと考えすぎじゃない?」

「……また?」

「だって、今も見てたでしょ」

「見てないよ」

「見てた」

「たまたまだって」


 私は慌ててお弁当のおかずに目を落とす。

 でも。

 少し離れたところにいる蓮が、友達と話しているのが見える。

 笑ってる。

 何を話してるんだろう。

 そんなことまで気になってしまう。


「……」

「ほら」

「何?」

「今も見てる」

「……」


 私は黙った。


「結菜ってさ」

「うん」

「蓮が何してるか、最近すごく気になるんじゃない?」

「……そうなのかな」

「そうだよ」


 友達は笑った。


「でも、いいんじゃない?」

「何が?」

「気になるなら、気になるで」

「……」


 私は答えられなかった。

 気になる。

 たしかにそうかもしれない。

 でも。

 どうして気になるのか。

 そこまでは分からない。

 そんなことを考えていると。


「結菜」

「……!」


 後ろから声がした。

 振り返ると、蓮が立っている。


「何?」

「先生が呼んでた」

「私?」

「うん」

「あ、分かった」


 立ち上がろうとした瞬間。


「……これ」


 蓮が私の机の横に落ちていたペンを拾って渡してくれた。


「あ」

「落ちてた」

「ありがとう」

「ん」


 蓮はそれだけ言って戻っていく。

 私は受け取ったペンを見つめる。

 まただ。

 こういう小さなこと。

 昔から何度もしてもらっているのに。

 今は、それだけで嬉しくなる。