幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い

「……あ」


 しばらく歩いていると、空からぽつっと雨が落ちてきた。


「雨?」

「降ってきたな」

「天気予報、晴れだったのに」


 空を見上げると、さっきまで明るかった空に薄い雲が広がっている。

 雨は少しずつ強くなってきた。


「どうしよう。傘持ってない」

「俺、ある」

「え、ほんと?」


 蓮が鞄から折り畳み傘を取り出した。


「入る?」

「いいの?」

「じゃなきゃ聞かない」

「やった」


 私は嬉しくなって、蓮の隣に近づいた。

 傘を開くと、自然と肩が触れそうなくらい距離が近くなる。


「……結菜」

「ん?」

「もうちょっとこっち」

「え?」

「濡れるから」


 蓮が少しだけ傘を私のほうに傾ける。


「蓮のほう濡れてるじゃん」

「いい」

「よくないよ」


 私は傘の真ん中を持ち直した。


「これで半分こ」

「……ん」


 蓮はそれ以上何も言わなかった。

 雨の音だけが、傘の上で静かに響いている。

 さっきまで普通だった帰り道が、少しだけ違って見えた。