コンビニを出ると、夕方の空が少しずつオレンジ色に変わっていた。
買ったお菓子を手に持ちながら、私たちはゆっくり歩く。
今日も、いつもの帰り道。
でも、昨日までとは少し違う。
朝に会えたこと。
一緒に帰る約束をしたこと。
放課後にまた隣を歩いていること。
ひとつひとつは、本当に小さなこと。
それなのに、今日は一日中、その全部が嬉しかった。
「結菜」
「ん?」
「明日も、朝一緒に行く?」
私は少しだけ目を丸くした。
「いいの?」
「……嫌ならいいけど」
「嫌じゃないよ」
むしろ。
嬉しい。
そう思ったけれど、口には出さなかった。
「じゃあ、明日も待ってるね」
「うん」
約束をして、家の近くで別れる。
手を振って離れていく蓮の背中を見ながら、私は小さく息を吐いた。
明日の朝。
また蓮に会える。
ただそれだけなのに、今から少し楽しみだった。
この頃の私はまだ知らなかった。
こうやって増えていく小さな「約束」が、いつか私の中で、特別なものになっていくことを。
