幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い

 昼休み。

 私はお弁当を食べながら、ふと朝のことを思い出していた。

『さっきから見てる』

 蓮の言葉。

 思い出しただけなのに、また少し恥ずかしくなる。


「……なんで思い出してるんだろ」

「何が?」

「えっ?」


 友達が不思議そうに私を見る。


「何でもない!」


 慌ててお弁当のおかずを口に入れる。

 そのとき。

 教室の後ろから、蓮の声が聞こえた。


「結菜」

「ん?」


 顔を上げる。


「今日、帰りコンビニ寄る?」

「え?」

「この前のアイス」

「あ!」


 思わず笑顔になる。


「寄る!」

「じゃあ、帰りな」

「うん!」


 蓮はそれだけ言って、自分の席に戻っていった。


「……」


 まただ。

 胸の奥が、ふわっとする。

 私は自分の胸元に手を当てた。

 ドキドキしている。

 でも、どうして?

 蓮はいつも通り。

 私もいつも通り。

 なのに、最近は何をしていても蓮のことが少し気になる。

 帰り道も。

 朝の時間も。

 学校で目が合った瞬間も。

 全部、前より少しだけ特別に感じる。


「……変なの」


 小さく呟く。

 まだ私は知らなかった。

 この「気になる」が、ただの幼なじみへの気持ちじゃないことを。

 そして。

 蓮のほうは、もっとずっと前から――

 私のことを特別に思っていたことも。

 何も知らない私は、ただ次の放課後を楽しみにしていた。