「でももう我慢しなくていいから」
「……そっか」
「うん」
少しだけ間が空く。
「だから」
蓮が繋いだ手を見る。
「もっと結菜の近くにいたい」
その言葉が、胸の奥にゆっくり広がっていく。
付き合う前は、こんなことを言ってくれるなんて思わなかった。
ずっと隣にいたのに。
手を繋ぐだけで、こんなにも特別に感じる。
私は繋いだ手を、ほんの少しだけ握り返した。
すると蓮が、驚いたように私を見る。
「……何?」
「いや」
蓮が嬉しそうに笑う。
「結菜から握ってくれたの、嬉しい」
「……だって」
恥ずかしくて、前を向く。
「私も……もう少し近くにいたいから」
言った瞬間、顔が熱くなった。
でも。
隣から聞こえた蓮の笑い声が、すごく嬉しそうだったから。
それだけで、私も嬉しくなった。
この手を繋ぐことも。
この距離も。
全部、恋人だからできることなんだ。
そう思うと、繋いだ手がいつもより温かく感じた。
