次の日の朝。
私はいつもより少し早く家を出た。
玄関を出て、スマホで時間を確認する。
「……まだ早いかな」
昨日、蓮と一緒に学校へ行く約束をした。
いつもなら、家を出る時間なんて特に決めていない。
学校で会えば一緒に行くし、先に行っていれば後から追いつく。
それくらい、適当な約束だった。
なのに今日は。
なんだか少しだけ楽しみだった。
家の前を出て、いつもの道を歩く。
曲がり角を過ぎたところで――
「結菜」
「……!」
後ろから声がした。
振り返ると、蓮が歩いてくる。
「おはよ」
「お、おはよう」
「早いじゃん」
「蓮もじゃん」
「昨日、約束したから」
「……そっか」
たったそれだけの会話なのに。
なぜか嬉しくなる。
「眠そう」
「ちょっとだけ」
「昨日、ちゃんと寝た?」
「寝たよ」
「ほんと?」
「ほんと」
蓮が私の顔を覗き込む。
「……目、眠そうだけど」
「朝だから!」
「ふーん」
蓮は小さく笑った。
私はなんとなく恥ずかしくなって、前を向く。
朝の空気は少し冷たかった。
でも。
隣に蓮がいるだけで、いつもより暖かく感じた。
