「……なんか、まだ信じられない」
私が呟くと、蓮が少し笑った。
「俺も」
「蓮も?」
「うん」
いつも落ち着いていて、何を考えているのか分からないことも多かった蓮が、今日は少しだけ照れている。
それがなんだか嬉しかった。
すると蓮が、少しだけ照れたように笑った。
「でも」
「え?」
「一つ、言いたいことある」
蓮は一度だけ視線を逸らして、それからまっすぐ私を見た。
「結菜」
「うん」
「俺の彼女になって」
胸が、どくんと大きく鳴った。
今まで何度も想像した。
もし蓮と付き合えたら。
もし、幼なじみじゃなくて恋人になれたら。
そんなことを考えるたびに、怖くなっていた。
でも今は。
蓮が私を見つめながら、ちゃんと言ってくれている。
「……私でいいの?」
「結菜がいい」
即答だった。
「結菜じゃなきゃ嫌」
その言葉に、胸がいっぱいになる。
「……うん」
小さく頷く。
「私も、蓮の彼女になりたい」
「……ほんと?」
「うん」
すると蓮は、今まで見たことがないくらい嬉しそうに笑った。
「よかった」
その声まで嬉しそうで。
私まで笑ってしまう。
「じゃあ、今日から?」
「今日から」
「……彼女?」
「うん。俺の彼女」
その言葉が恥ずかしくて、顔が熱くなる。
「……なんか、変な感じ」
「俺も」
そう言って、蓮が笑う。
ずっと一緒だった幼なじみ。
大切で、失いたくなくて、だから好きだと言えなかった人。
その人と今日、恋人になった。
帰り道はいつもと同じ道なのに。
隣を歩く蓮との距離だけは、今までよりずっと近かった。
