家の前に着いても、今日はなかなか「また明日」が言えなかった。
蓮も、何かを考えるように黙っている。
「……じゃあ、また明日」
私が先に言うと、蓮は私を見た。
「結菜」
「ん?」
「明日も一緒に行こう」
「うん」
「絶対」
「絶対?」
「うん」
少しだけ強い口調だった。
「……約束」
「分かった。約束ね」
笑ってそう答える。
すると蓮は、少しだけ安心したように息を吐いた。
「じゃあ、おやすみ」
「うん。おやすみ」
家に入る直前、振り返る。
蓮はまだそこにいた。
私が振り返ったことに気づくと、小さく手を上げる。
その姿を見ていると、胸がまた温かくなった。
本当に、どうしてこんなに優しいんだろう。
どうして最近、こんなに私のことを見てくれるんだろう。
私はまだ、その答えを知らない。
ただ一つだけ分かるのは――
今日の蓮は、今までよりずっと近かったということ。
そして。
蓮のほうも、もう何かを隠すことに疲れているみたいだった。
「……もう、待てない」
誰もいない道で、蓮が小さく呟く。
その声を、私は知らない。
