月曜日の朝。
いつもの時間に家を出ると、少し先に蓮が立っていた。
「……おはよ」
「おはよう。待ってたの?」
「うん」
短い返事。
それだけなのに、昨日のことを思い出して、少しだけ胸がざわついた。
昨日、蓮は何度も変なことを言っていた。
『俺といるの、好き?』
『俺が結菜のこと好きって言ったら、どうする?』
あの言葉の意味を考えようとすると、どうしても答えが出ない。
私だって、蓮が好き。
でも、それは幼なじみとしてじゃなく。
ずっと一緒にいて、大切で、離れたくない。
でも、それ以上の意味を持たせてしまったら、今までの関係が変わってしまう気がして怖かった。
「行く?」
蓮の声で我に返る。
「う、うん」
歩き出すと、いつもより蓮が近い。
肩が触れそうなくらいの距離。
「蓮、近くない?」
「そう?」
「うん」
「……嫌?」
「嫌じゃないけど」
そう答えると、蓮は何も言わず、そのままの距離を保った。
むしろ、少しだけ歩く速度を落として。
私に合わせてくれている。
「……なんでそんなに近いの?」
思わず聞くと、蓮は前を向いたまま答えた。
「近くにいたいから」
胸が、どくんと鳴った。
「……幼なじみだから?」
そう聞くと、蓮は一瞬黙った。
「……それだけじゃない」
小さな声だった。
「え?」
「なんでもない」
まただ。
最近、蓮はこういうことを言っては、すぐに誤魔化す。
私はその意味を聞き返すことができないまま、隣を歩いた。
