家の近くまで来ても、蓮は少し静かなままだった。
「今日は楽しかったね」
私が言うと。
「うん」
蓮が答える。
少しして。
「俺は、もっと楽しかった」
「私もだよ」
「……結菜」
「なに?」
「俺が結菜のこと好きって言ったら、どうする?」
心臓が止まりそうになった。
「……え?」
蓮は私を見ていた。
冗談には見えない。
でも。
私は、その言葉を恋愛の意味だと思うことができなかった。
「……私も蓮のこと好きだよ」
そう言う。
蓮の表情が、一瞬止まる。
「……そういう意味じゃなくて」
「?」
「いや」
蓮が目を逸らした。
「もういい」
「え、何?」
「なんでもない」
私は困ったように笑った。
蓮が何を言いたいのか、本当に分からない。
でも。
一つだけ分かることがある。
私は蓮が好き。
それだけは、絶対に変わらない。
だからこそ。
今の関係を壊したくない。
蓮が私を幼なじみとして好きでいてくれるなら。
私は、それでいい。
そう思っていた。
蓮が本当に伝えようとしていた「好き」の意味が。
私と同じものだったなんて。
このときの私は、まだ知らなかった。
