少し遠回りをして、いつもよりゆっくり歩く。
夕方の道は、いつもより静かだった。
「結菜」
「なに?」
「来週の日曜、空いてる?」
「日曜?」
「うん」
「たぶん空いてるけど……」
「じゃあ、どっか行こう」
「二人で?」
「うん」
蓮は迷うことなく答えた。
私は少し驚く。
二人で出かけること自体は、今までにもあった。
だから、変なことではない。
「どこ行く?」
「まだ決めてない」
「じゃあ、一緒に決めよう」
「うん」
蓮が嬉しそうに笑う。
その顔を見ると、私も嬉しくなる。
「楽しみだね」
「俺も」
その返事が、妙に嬉しかった。
――蓮も楽しみにしてくれてる。
そう思う。
でも、そこから先は考えなかった。
私たちは幼なじみ。
二人で出かけることも。
一緒に帰ることも。
お互いの好きなものを覚えていることも。
きっと、全部その関係の中にある。
私はそう思っていた。
だから。
蓮がどうしてこんなに私と一緒にいたがるのかなんて、考えなかった。
