放課後。
教室を出ると、蓮が私の鞄を見た。
「今日、それ重い?」
「ちょっとだけ」
「貸して」
「大丈夫だよ」
「いいから」
蓮が私の鞄を持っていく。
「蓮、自分のあるじゃん」
「持てるから」
「でも……」
「結菜が持つより楽」
そう言って、何でもないことみたいに歩き始める。
私はその隣についていく。
「ありがと」
「ん」
しばらく歩いていると、蓮が私を見る。
「今日、どっか寄る?」
「どうしよう」
「俺はどこでもいい」
「蓮が決めていいよ」
「じゃあ、少し遠回りして帰る?」
「いいけど、なんで?」
「……まだ一緒にいたいから」
また。
胸が跳ねる。
私は思わず蓮を見る。
蓮は前を向いたままだった。
「そっか」
なんとかそれだけ返す。
本当は、すごく嬉しかった。
私も、もう少し一緒にいたいと思っていたから。
でも。
やっぱり、これも幼なじみだからなんだと思う。
ずっと一緒にいるのが当たり前だったから。
帰り道を少し長くしたいと思うのも、きっと同じ。
そう思っているのに。
「……結菜」
「ん?」
「嬉しそう」
「え?」
「顔」
「そ、そう?」
「うん」
蓮が笑う。
私は慌てて前を向いた。
顔が熱い。
そんな私を見て、蓮は何も言わなかった。
