放課後。
いつものように教室を出る。
「今日はどっか寄る?」
蓮が聞いてきた。
「どこかって?」
「本屋とか」
「珍しいね」
「結菜と行きたいだけ」
「……え?」
思わず足が止まる。
蓮も立ち止まって、私を見る。
「何?」
「今、なんて言った?」
「本屋行きたいって」
「その前」
「……結菜と行きたい」
もう一度、同じ言葉。
胸が大きく鳴った。
「そ、そうなんだ」
なんとか返事をする。
「嫌?」
「嫌じゃないよ」
「じゃあ行こ」
蓮が先に歩き出す。
私はその後ろを追いかけながら、頬が熱くなるのを感じていた。
――結菜と行きたいだけ。
その言葉が頭から離れない。
もしかして。
……なんて、考えそうになる。
でも。
すぐに打ち消す。
蓮は昔から、私と一緒にいることが多かった。
二人で出かけることだって、珍しくない。
だから、きっと今回も同じ。
幼なじみだから。
私はそう思い込むようにした。
それでも。
隣を歩く蓮の顔を見ると、嬉しくなってしまう。
「結菜」
「なに?」
「遠くない?」
「え?」
「さっきから離れすぎ」
「……そう?」
「うん」
蓮が少しだけ私のほうへ寄る。
「こっち」
その一言で、また心臓が跳ねた。
