学校に着いてからも、蓮はいつもより私の近くにいる気がした。
休み時間。
私が友達と話していると、蓮が教室の後ろから声をかけてくる。
「結菜」
「ん?」
「これ」
渡されたのは、昨日借したノートだった。
「ありがと」
「あと」
「なに?」
「今日、帰るよな?」
「うん」
「よかった」
「……?」
蓮はそれだけ言うと、自分の席へ戻っていった。
私はその背中を見ながら首を傾げる。
最近の蓮は、少し変だ。
前よりも私のことを気にしているような気がする。
でも。
昔から、蓮はそうだった。
私が忘れ物をすれば教えてくれたし。
困っていれば助けてくれた。
一緒に帰るのだって、ずっと当たり前だった。
だから。
「きっと、幼なじみだからだよね」
そう考えると、すぐに納得できた。
……本当は。
そうやって納得しないと、少し期待してしまいそうだった。
もし。
蓮が私と一緒にいたいと思ってくれている理由が、幼なじみだからじゃなかったら。
そんなことを考えたら、きっと今よりもっと蓮を意識してしまう。
だから私は、考えないことにした。
