家の近くまで来る。
いつもの分かれ道。
「また明日」
「うん。また明日」
蓮が歩いていく。
私はその背中を見送った。
今日も一緒に帰れた。
それだけで嬉しい。
でも。
帰り道を一人になった途端、胸の奥が少しだけ寂しくなった。
もっと一緒にいたかった。
もう少し話したかった。
そう思う。
それでも、私は自分に言い聞かせる。
これでいい。
蓮と私は幼なじみ。
ずっと一緒にいるためには、このままが一番いい。
もし私が好きだと伝えて。
蓮が困ったら。
もし今までみたいに接してくれなくなったら。
もし、帰り道が別々になったら。
そんな未来を考えるだけで、怖くなる。
だから。
好きでも、言わない。
蓮が私を幼なじみとして大切にしてくれるなら、それでいい。
それ以上を望んだら、今あるものまでなくしてしまうかもしれないから。
私は家へ向かいながら、そっと胸の中で呟いた。
――このままでいい。
そう思っていた。
