タクシーの中で、廉は泉の手を握っていたが、二人は黙り込んでいた。デラロサの話が出た時に、おそらく泉に知れてしまっている。デラロサと自分をつなぐのは理恵しかない。彼女にどう話したらいい?本当のことを言うか、それとも適当に何かを言ってごまかすか……
ごまかすと言っても、ごまかしようがないじゃないか……
廉は思い切って本当のことを言うことにした。嘘を言って、彼女を変に傷つけるようなことをしたくない。
「実は……僕はこれからデラロサへ行く」
廉の手に力が入るのがわかった。
「理恵さんに会いに?」
泉が訊くと、廉は頷いた。
「というか……探しに。さっき、富田さんの家からうちに電話があって、彼女、昨日から家出してるらしいって」
「家出……ですか?どうして……」
何か事情があるとは思ったが、そんなことだとは……
「彼女、ご両親とうまくいってないんだ。僕が知ってるのはそれだけ。ただ、上野の近辺にいるって誰かが言ったのを聞いて、彼女のお父さんが僕にも探して欲しいと言ってる」
廉の瞳が泉を捉えた。
「すまない……」
「あやまらないで下さい。私、別に……大丈夫ですから」
泉は言ったが、その目は寂しげだった。
デラロサの近くまで来ると、泉が車を止めさせた。廉は泉をその先の泉の部屋まで送っていくつもりだったが、泉はここからなら歩いてすぐ帰れるからと言って車を降りてしまった。
廉がタクシーにここで待っていて欲しいと頼んでいる最中、泉は先に外で待っていたが、廉が降りると「送ってくださってどうもありがとう」と言ってにこやかに手を振りながら、小走りに自分の部屋へ戻って行ってしまった。
なんてあっけない。
彼女はきっと気分が悪かっただろう。あんな帰り方をさせるなんて…… 自己嫌悪に陥りながら、デラロサの方を見ると、入り口に河部が立って、こちらをじっと見ていた。
「あなたが来るなら、僕は来なくても良かったんじゃないですか?」
廉は嫌味たっぷりに言ったが、河部は「行きましょう」と言って中へ入って行ってしまった。
ごまかすと言っても、ごまかしようがないじゃないか……
廉は思い切って本当のことを言うことにした。嘘を言って、彼女を変に傷つけるようなことをしたくない。
「実は……僕はこれからデラロサへ行く」
廉の手に力が入るのがわかった。
「理恵さんに会いに?」
泉が訊くと、廉は頷いた。
「というか……探しに。さっき、富田さんの家からうちに電話があって、彼女、昨日から家出してるらしいって」
「家出……ですか?どうして……」
何か事情があるとは思ったが、そんなことだとは……
「彼女、ご両親とうまくいってないんだ。僕が知ってるのはそれだけ。ただ、上野の近辺にいるって誰かが言ったのを聞いて、彼女のお父さんが僕にも探して欲しいと言ってる」
廉の瞳が泉を捉えた。
「すまない……」
「あやまらないで下さい。私、別に……大丈夫ですから」
泉は言ったが、その目は寂しげだった。
デラロサの近くまで来ると、泉が車を止めさせた。廉は泉をその先の泉の部屋まで送っていくつもりだったが、泉はここからなら歩いてすぐ帰れるからと言って車を降りてしまった。
廉がタクシーにここで待っていて欲しいと頼んでいる最中、泉は先に外で待っていたが、廉が降りると「送ってくださってどうもありがとう」と言ってにこやかに手を振りながら、小走りに自分の部屋へ戻って行ってしまった。
なんてあっけない。
彼女はきっと気分が悪かっただろう。あんな帰り方をさせるなんて…… 自己嫌悪に陥りながら、デラロサの方を見ると、入り口に河部が立って、こちらをじっと見ていた。
「あなたが来るなら、僕は来なくても良かったんじゃないですか?」
廉は嫌味たっぷりに言ったが、河部は「行きましょう」と言って中へ入って行ってしまった。

