「ちょっと航平、何その覇気のない歩き方!シャキッとしなさい!」
同盟が成立したその週末、俺は夏海に引きづられるようにして、隣町の駅ビルにある少しお洒落なセレクトショップへ来ていた。
平日の放課後に大輝と来たときは、男二人でガチガチになりながらチャコールグレーのシャツを一枚買うのが精一杯だった。しかし、今の俺の両隣には、ガラス張りのきらびやかなディスプレイと、最先端のトレンドだというみたこともないカタカナの服がずらりと並んでいる。おまけに女の子である夏海と二人でこんな空間にいるという事実だけで、居心地が悪くて今すぐ回れ右をして逃げ出したかった。
「いや、だってさ……こういう店、やっぱり落ち着かないんだよ。大輝と来た時も心臓が痛かったのに、周りの目が気になってしょうがないっていうか……」
「あんたねぇ、何弱気なこと言ってんのよ……」
俺がいつもの着慣れた首元が少し伸びかけた味気ないロゴTシャツの襟を引っ張りながら気まずそうに呟くと、夏海はあらかじめ用意していたらしいメモ長を片手に、ハンガーに並ぶ服を高速で品定めしながら振り返った。
午前中で部活が終わったあと、一旦家に帰ってわざわざ私服に着替えて待ち合わせたものの、俺のクローゼットにあるのは昔から親に買ってもらったような動きやすさ重視の服ばかりだ。隣を歩く夏海からすれば、今の俺の格好は、高校のジャージ姿と大して変わらない子供っぽさが見えるだろう。現にさっきから、すれ違うお洒落なカップルたちの中で俺の格好は浮いている気がした。
「大輝の選んだチャコールグレーとかも確かに大人っぽいけどもっとバリエーション増やさないと、『また同じ服着てるな』って思われるでしょ?これからもデート行くかもしれないんだから、今日はお姉さんの目にも映える秋物のコーディネートを私が完璧にプロデュースしてあげるから!」
夏海はフンスと誇らしげに鼻を鳴らし、ハンガーの波をかき分けていく。その迷いのない手つきはまるでサッカーのフォーメーションを組み立てる監督のようで、俺はただ黙って後ろをついていくしかできなかった。
同盟が成立したその週末、俺は夏海に引きづられるようにして、隣町の駅ビルにある少しお洒落なセレクトショップへ来ていた。
平日の放課後に大輝と来たときは、男二人でガチガチになりながらチャコールグレーのシャツを一枚買うのが精一杯だった。しかし、今の俺の両隣には、ガラス張りのきらびやかなディスプレイと、最先端のトレンドだというみたこともないカタカナの服がずらりと並んでいる。おまけに女の子である夏海と二人でこんな空間にいるという事実だけで、居心地が悪くて今すぐ回れ右をして逃げ出したかった。
「いや、だってさ……こういう店、やっぱり落ち着かないんだよ。大輝と来た時も心臓が痛かったのに、周りの目が気になってしょうがないっていうか……」
「あんたねぇ、何弱気なこと言ってんのよ……」
俺がいつもの着慣れた首元が少し伸びかけた味気ないロゴTシャツの襟を引っ張りながら気まずそうに呟くと、夏海はあらかじめ用意していたらしいメモ長を片手に、ハンガーに並ぶ服を高速で品定めしながら振り返った。
午前中で部活が終わったあと、一旦家に帰ってわざわざ私服に着替えて待ち合わせたものの、俺のクローゼットにあるのは昔から親に買ってもらったような動きやすさ重視の服ばかりだ。隣を歩く夏海からすれば、今の俺の格好は、高校のジャージ姿と大して変わらない子供っぽさが見えるだろう。現にさっきから、すれ違うお洒落なカップルたちの中で俺の格好は浮いている気がした。
「大輝の選んだチャコールグレーとかも確かに大人っぽいけどもっとバリエーション増やさないと、『また同じ服着てるな』って思われるでしょ?これからもデート行くかもしれないんだから、今日はお姉さんの目にも映える秋物のコーディネートを私が完璧にプロデュースしてあげるから!」
夏海はフンスと誇らしげに鼻を鳴らし、ハンガーの波をかき分けていく。その迷いのない手つきはまるでサッカーのフォーメーションを組み立てる監督のようで、俺はただ黙って後ろをついていくしかできなかった。

