死の世界



「 おい、囚人 」


 ここでは名前など呼ばれない 。
囚人はそれぞれ隔離されていて、囚人同士が会う事など無いのだから、ただ「囚人」でいい 。

 凪が振り返ると、いつの間に来たのやら
若い看守が1人、背後に立っていた。


「 今日からお前の専属看守になるアレンだ。
ヴァリンティア王国の元聖騎士。」


 この刑務所は世界的に危険視されている囚人が収監される場所。
だから、看守の国籍もそれぞれ。
それに、とても強い。
 元軍隊所属であったり、政府直属のスパイだったり。

 そんな中、私の看守になったのは軍隊の強さで世界ランキングに入るほどの国の聖騎士だった。

 サファイアブルーの瞳に、長いまつ毛。
ホライゾンブルーの綺麗な長髪が後ろで一纏めに括られている。
 きっとモテ男だ。私知ってる。
チヤホヤされるタイプの男。

 外見などどうでもいい、と言えば嘘になる。
とりあえずキモオジでは無かったことに安心した。
だけど、イケメンだからと言い警戒心が溶けるわけでは無い。


「……あっそ。」

「嫌でもこれから毎日顔を見ることになるがよろしく頼む。」

「嫌。」

「早いな。」
 
「人間嫌いだし。」

「そうか。」


 アレンは再び手元の資料に目を戻した。
フレンドリーな人間では無いが、ただただ冷酷な人間でも無さそうだ。


「あのさ、用が終わったなら帰ってくんない?」

「それは無理なお願いだな。」

「どうして?」

「俺も仕事だ。」

「あぁ、そう。」