千代子花火の12週間の恋

  ◆◇◆


  [千代子(ちよこ)くん……送ってもらった短編のネームを読んだよ……]


  「はい……」


 一週間が経ち、私たちは私の部屋で作業をしていた……毎日、絵を描いてはマンガやゲームの話をしていて……


 話しながら……ネームを描きながら……


  [正直に言うとね……このストーリー、本当にすごいよ! こんなに早く新しい原作者を見つけてくるなんて思わなかった……]


  「実はこれ、A誌の担当編集さんに没にされた短編のネームなんです……」


  [そうなんだ?……まあ、A誌はいつもあんな感じだからね……ああそうだ……今は他の担当編集たちも、編集長も含めて、みんなで回し読みしてるんだよ]


  「へ……え……それで……みんな何て言ってるんですか?」


  [柔らかい雰囲気のストーリーが君の絵柄に合ってるって言ってたよ……それと、編集長は短編じゃなくてシリーズとして見たいって言ってた……]


 私たち二人は顔を見合わせた……そして、嬉しそうに笑った……


  「じゃあ! 私たち二人で、シリーズ最初の三話分のネームを描きましょう!!」


  [やってやれ! A誌の鼻を明かしてやれ……]


 そして電話は切れた……


  「順調にいってますね!!」


  「そうですね……このままいけば……単行本化も夢じゃないかもしれませんね……」


  「じゃあ急いで描かなきゃ……わあっ!!!!」


  「千代子(ちよこ)さん!!」


 慌てて走った私は、床に散らばっていた紙を踏んで……そのまま吉永(よしなが)さんの上に倒れ込んでしまった……


  「うぐ……」


 彼はちょうど私を腕の中で受け止めてくれた……部屋はずっとエアコンをつけていて……そのせいで、私を包み込む彼の温もりを強く感じてしまった……


  「あ……ありがとうございます!……」


  「大丈夫ですよ……怪我はないですか?」


  「は……はい……」


 私たち何やってるんだろう……ただ転んで彼にぶつかっただけなのに……


 もう、何やってんだか……