千代子花火の12週間の恋

 私が読んだ原稿は……ある大学生の女の子が、主人公と12週間だけ教授のプロジェクトでペアを組むことになり、その間に二人の関係がどんどん近づいていくという話だった……


 でも……プロジェクトを提出した後……主人公は母親の病気のせいで大学を中退し、遠い田舎に帰らなければならなくなる……


 二人はそれきり、二度と会うことがなかった……


 なんて悲しい話なんだろう……


「私も……あなたと同じですよ……」


「え?」


「私も……ずっと漫画家になりたくて……死ぬ気で絵の練習をしてきました……でも結局……ストーリーの方は、誰も興味を持ってくれないような話にしかならなくて……」


「……………」


 彼は悲しそうな顔で私を見つめていた……


「だから……」


 でも……私にとっては……これはチャンスなんです……


 私たち二人みたいな小さな書き手にとってのチャンス……


「一緒にコンビを組んで漫画を描きましょう!……」


 私は立ち上がって彼に手を差し出した。彼は最初、少し戸惑っているようだったけれど……やがて、まっすぐな眼差しを私に向けてきた……

 そして、私の手をしっかりと握った……


「はい……よろしくお願いします……ええと……」


 あっ……名乗るの忘れてた……


「私、千代子(ちよこ)花火(はなび)です……大学三年生です」


「僕は吉永(よしなが)光輝(こうき)です……今はもう卒業していて……就活中です……」


 私たちは声を揃えて言った……


「「ありがとうございます、先生」」