千代子花火の12週間の恋

  ◆◇◆

 
  「君の描く絵ってさ……もう本当に綺麗だよ……線も丁寧だし、キャラの表情もすごくよく描けてる……でもね……ストーリーの方は……まだ使い物にならないな。」


  「は……はい……」


 筋骨隆々とした担当編集者は、私にそう言うのはこれで八回目……さすがの私も心が折れそうになる。


 こんにちは……私は漫画家を夢見る大学三年生です……


 私はごく普通の大学生で、ちょっとおしゃれが好きで、趣味は音楽鑑賞と絵を描くこと……


 でもまあ……私が得意なのは本当に絵だけなんだよね……


  「でもまあ……ストーリーだってゴミ箱行きってほど酷いわけじゃない……じゃあ、年間の短編コンテストに出しておくよ……」


  「よ、よろしくお願いします……」



 私は立ち上がって彼に頭を下げた……彼が私の原稿を上の階に持って行く前に……

  「はあ……もうやめようかな……」


 正直に言うと……私はアイデアだけは頭に浮かぶのに、ストーリー展開が壊滅的に下手なタイプの書き手だ……


 成績も中くらい、顔もそこそこ、肩まで伸ばして染めた水色の短髪だって、私に魅力を与えてくれるわけでもない……


 誰かが成功しているのを見るたびに、ただ妬むだけ……どんなに頑張っても、結局は何も実らない……


 もしかしたら……今、漫画を描くのをやめてしまえば……叶うことのない夢が、こんな風に私を蝕み続けることもなくなるのかもしれない……


  「決めた……」


 決めた……もしこの短編がコンテストを通らなかったら……漫画家を諦める……


 神様が私の愚痴を聞いてくれたのかどうかは分からないけれど……私はまた一つのチャンスに出会うことになる……


 漫画を描いて、成功を掴めるかもしれないチャンスに。