ポテトシステム

 指がまた勝手に動く。
 サクッとした食感。パリッと爽快な音。そして口の中に広がる香ばしさ。

「んー、美味しいっ」

 ポテトチップスってどうしてこんなに美味しんだろう。
 食べたと思ったら、またもう一枚手に取っている。これはもう止められない。

「叶海(かなみ)それ何袋目?」

 私の隣で晴香(はるか)が呆れたように呟いた。

「バター醤油味は一袋目だよ」
「バター醤油味はって……。ポテチの袋、こんなに溜まっているじゃん」

 目の前のビニール袋に、ポテチの袋がこんもりと入っている。
 バスに乗ってからもう三袋は食べたかな。

「だって、ポテトチップスって一度食べたら止まらないんだもん」
「カナミ、ポテチタベスギ」
「もう、ラブまで」

 ポケットに入れていたタブレットから音声が聞こえてくる。
 ラブが私たちの話を聞いて会話に混ざってきた。

 ラブはね私が開発したAIなんだ。
 人の言葉もわかっちゃう頼もしいパートナーなんだけど、たまにこうやってお節介を焼いてくるんだよね。

「まあまあ、いいじゃん。これからたくさんのポテトが待っているんだからさ」
「そういうことじゃないでしょ」

 晴香がもう一度、ため息をつく。
 そう。私と晴香はたくさんの小学生たちと一緒にバスに乗っている。
 目的はイノベーターキャンプに参加するため。

 バスの行き先は次世代型実験都市、ポテトシティだ。

 ポテトシティはその名の通り、ポテトを中心とした産業で成り立っている都市なんだ。

 ただジャガイモを育てているだけじゃないんだよ。
 ジャガイモの栽培から収穫、そして加工やポテトを使った商品の企画までぜーんぶポテトシティでやっているんだよね。
 私が食べているポテトチップスも収穫から工場の加工まで全部ポテトシティで作ったものなんだ。

 そんなポテトシティでイノベーターキャンプが開催されることになったんだ。
 ビジネス、エンタメ、サイエンスなどあらゆる分野で未来有望な天才小学生が集まって先端な実験都市でお互いを高めうキャンプをするの。
 私はAIの開発実績が評価されて、イノベーターキャンプに呼ばれたってわけ。

 自慢じゃないけど私は小学生ながらAIのコンテストで何度も優勝している。
 AI開発の天才、なんて言われたりしているんだよね。
 もちろん、私だけじゃなくて親友の晴香の協力があってこそだけどね。

 これからどんなことが待っているんだろう。想像するだけで今からもうワクワクしちゃう!

「よーっし。ポテトをどんどん食べるんだからねー!」
「私たちはポテトをいっぱい食べに行くんじゃないんだよ」

 ブルルっとバスのエンジン音が唸りを上げる。
 私はもう一枚、ポテトチップスをパクリと食べた。