その青は沈む

 スタジオから出て、携帯で近所の公園を探してから、コンビニの近くに目星を付けた。ここからは歩いて行ける距離だけど、車から日傘を取って、公園に向かった。

 公園に着いたら、彼女は隅のほうのベンチに座っていて、すぐそばで楽しそうに遊ぶ子どもたちを見ているようだった。

 そんな彼女を見ながら、近くにあった自販機で飲み物を買って、その場所で立ち止まった。少しだけ彼女の様子を見ようと思った。

 彼女は子どもたちを見たあとで、ゆっくりと空を見上げた。同じように顔を上げると、日差しが強くて眩しかった。けど、よく見たら、青空に夕焼けの色が混ざっていた。
 顔を戻して彼女を見たら、なんだか嬉しそうな顔をしていた。僕も同じように子どもたちを見ていた。

 公園の砂場で、小さな青いバケツに砂を入れて、お城のような物を作っている。兄弟みたいで、友達みたいな子どもたちは、慎重に手で砂を固めていた。やっと形になったところで、端のほうから砂が落ちて、小さな手を伸ばしたけど、崩れてしまった。その時に僕も足先を踏み込んでいた。
 でも、すぐに子どもたちは同時に笑って、砂場を綺麗にしてから、手を繋いで帰っていった。

 ほっとして彼女を見たら、なんだか寂しそうだった。夕方近くの公園には、帰る人とか、迎えに来た人はいたけど、遊んでる人はほとんどいなかった。日差しは弱くなってきたけど、彼女がどれくらいいたのかもよく分からない。何かある前にと思って、彼女の近くに行って、声を掛けた。

「柚月ちゃん」

 けど、彼女は僕を見て、小さく一文字を言ってから、気まずそうに顔を逸らした。
 多分、サボっているとか、そんなことを想像したのかもしれない。

「佐伯が、柚月ちゃんと夕飯でも食べて来いって」僕はなるべく明るく言って、飲み物を渡した。

「……そうですか」と、彼女はほっとした顔をしたけど、すぐに複雑そうな顔になった。

「……悩み事? 僕でよければ聞くけど……」そう言ってから、彼女に渡した缶をそっと取って、蓋を開けた。

「……いえ、大丈夫です。気にしないでください」彼女は少し笑ったけど、俯いていった。

「そっか。いい天気だね。あ、日傘差そうか」僕が傘に気を向けたら、彼女が息を吸った。

「今度、デートしようか。お兄ちゃん……」

 傘を開いて、彼女に差したまま、僕は止まった。泣きたいのか、笑いたいのかよく分からない。けど、僕のそばに彼女は確かにいる。

「どこ、行く? 水族館とか映画館とか、動物園もいいかもね」なるべく見られないように、顔を逸らして言ったけど、自分の声が泣いてるように聞こえた。

「お兄ちゃんの好きなところがいい」

 もう、だめだった。涙が流れていた。でも、どうにか堪えて、手の甲で拭ってから言った。

「二人で決めようよ、そのほうが楽しいし……」

 そしたら、彼女が少し膨れた顔をしてから、仕方ないなと言う顔で頷いた。そして、手のひらを見せて、「手繋なご」なんて言うから、僕も「子どもじゃあるまいし……」なんて言って、二人で笑って、結局は手を繋いで歩きだしていた。