散歩も終わり、屋敷に帰ろうとUターンしたとき………
つるっ!
雪で足が滑ってしまった。
息を呑む。やばい、このままじゃ……!
レイが手を強く引きつけて転ぶのを阻止してくれた。
「あ、ありがとう」
「危ないから、もう少し近づいて」
そう言って距離を詰めてくる。
途端に、顔が沸騰したように湯気が出た気がした。
「顔赤いぞ、大丈夫か?」
さらに顔を近づけて確認してくる。
「……っ!だ、大丈夫だから!これ以上近付かないで!」
あ………
言ってしまった………
近くて、恥ずかしかっただけなのに……
レイの表情が固まって、氷のように冷たくなった。
「……あっそ」
そう言って素早く屋敷に戻って行くレイ。
誤解を解かないと……!
「あ、あの……レイ!違くて!」
「俺が嫌なんだろ?じゃあもう触れないから」
そう言いながらも切なそうに目を細めるレイ。
どんどん体から熱が引いていく。
勢いよく閉められた扉が、今の私達の距離感を表しているようだった。


