恋は目をそらしたその先に ー夏祭り編ー

それなのに今は。


次の約束が、当たり前みたいにそこにある。


ゆいはスマホを胸元に置いた。


目を閉じる。


すると、今日の景色が次々と浮かんできた。


提灯。


屋台。


花火。


そして、繋いだ手。


「……好きだな。」


誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。


翌朝。


「眠い……。」


ゆいは机に頬杖をついた。


昨日のことを思い出してしまって、なかなか眠れなかった。


特に、最後に言われた言葉。


来年も一緒に行こう。


思い出すたびに、胸が温かくなる。


「おはよ。」


その声に、ゆいは顔を上げた。


「……!」


りくだった。


「おはよう。」


「お、おはよう。」


昨日とは違う。


今日は制服姿。


いつもの学校。


いつもの朝。


なのに、昨日までとは何かが違って見える。


りくが席につく前に、ゆいの横を通る。


そのとき。


「昨日、ちゃんと寝た?」


小さな声で聞かれた。


「……あんまり。」


「俺も。」


「なんで?」


「楽しかったから。」


「……。」