恋は目をそらしたその先に ー夏祭り編ー

窓から見える夜の景色も。


何も変わっていない。


なのに。


ゆいだけが、少し変わった気がした。


浴衣を脱いで、髪をほどく。


鏡を見る。


そこには、いつもの自分がいる。


「……。」


でも、口元が自然に緩んでしまう。


スマホを見る。


通知が一件。


りくからだった。


『今日はありがとう』


その短い文章を、ゆいは何度も読み返した。


『こちらこそありがとう』


送信。


少しして、返信が来る。


『写真、めっちゃいい感じだった』


添付されていたのは、今日撮った二人の写真。


ゆいは画面を見つめる。


浴衣姿の自分。


その隣にいる、りく。


二人とも少し照れたように笑っている。


写真の中の自分は、ちゃんと笑っていた。


こんな顔をしていたんだ。


そう思うと、少しだけ不思議だった。


『また撮ろう』


ゆいが送る。


するとすぐに、


『うん。次はもっと自然に』


と返ってきた。


「……ふふ。」


一人なのに、笑ってしまった。


昨日までなら、こんなやり取りをすることさえ夢みたいだった。