恋は目をそらしたその先に ー夏祭り編ー

第6話「昨日の余韻」


駅の時計が、静かに午後八時を指していた。


改札へ向かう人たちの足音が、絶え間なく響いている。


それでも、ゆいにはその音がどこか遠く感じられた。


隣には、りくがいる。


繋いだ手の温かさも、まだ残っている。


けれど。


もうすぐ、この手を離さなければならない。


「……着いちゃったね。」


ゆいが小さく言う。


「うん。」


りくも、少しだけ寂しそうに笑った。


二人とも、すぐには手を離さなかった。


「今日……楽しかった。」


「俺も。」


「本当に?」


「本当に。」


りくは少し笑ってから、


「ゆいが楽しそうだったから、俺も楽しかった。」


そう言った。