恋は目をそらしたその先に ー夏祭り編ー

祭りの音が、二人の間を流れていく。

太鼓の音。

子どもたちの笑い声。

屋台から聞こえる呼び込みの声。

たくさんの人がいるはずなのに。

不思議なくらい、ゆいにはりくの声だけが近く聞こえた。

「ゆい。」

「ん?」

「そのクマ、今日の記念な。」

「……うん。」

ゆいは小さく笑った。

今日という一日は、まだ始まったばかり。

これから何が起こるのかなんて、分からない。

けれど今は、

この手の温かさを忘れたくなかった。

夜空が少しずつ暗くなっていく。

遠くでは、花火の準備が始まっているらしい。

そして二人の夏祭りは、

まだ続いていく。