恋は目をそらしたその先に ー夏祭り編ー


第3話「屋台の魔法」

繋いだ手は、そのままだった。

人の波を抜けるたびに、肩が触れそうになる。

いつもなら気にならないような小さな距離が、今日はひどく特別に思えた。

「ゆい、何食べたい?」

りくが屋台を眺めながら聞く。

「んー……。」

焼きそば、たこ焼き、りんご飴。

目に入るもの全部がおいしそうに見えて、なかなか決められない。

「迷ってる?」

「だって、全部おいしそう。」

「じゃあ、全部ちょっとずつ食べれば?」

「そんなに食べられないよ。」

「俺が食べる。」

「それ、結局りくが食べたいだけじゃん。」

「ばれた?」

りくが笑う。

その笑顔を見ていると、祭りの喧騒さえ少し遠くなるような気がした。