恋は目をそらしたその先に ー夏祭り編ー


りくが少しだけ指を動かして、ゆいの手を握った。


「行こ。」


「……うん。」


二人は並んで歩き出した。


提灯の明かりが、二人の影を地面に落としている。


その影は、人混みの中で何度も揺れながら、それでも離れることはなかった。


まだ花火は上がっていない。


夜も始まったばかり。


それでもゆいは思った。


今日という日はきっと、


ずっと忘れない夏になる。


好きな人と手を繋いで歩いた、この瞬間を。


夏の夜は、静かに二人を包み込んでいた。