「え?」
「そんなこと急に言われたら、こっちも恥ずかしいんだけど。」
「……りくでも恥ずかしいんだ。」
「そりゃ恥ずかしいよ。」
りくは少し笑ってから、前を向いた。
その耳がほんの少し赤くなっているのを見つけて、ゆいも思わず笑った。
なんだ。
自分だけじゃないんだ。
そう思うと、胸の奥が少しだけ軽くなる。
やがて神社の鳥居が見えてきた。
その先には、たくさんの屋台と、人の波。
提灯の明かりがひとつ、またひとつと灯り始めている。
昼間とは違う町の顔。
夏の夜だけに現れる、少しだけ特別な景色。
「すご……。」


