しばらく廊下を進んで 、辿り着いたのは父の書斎 。
マリアは覚悟を決めてノックをした 。
「 … お父様 。マリアです 。」
「 入れ 。」
扉を開けると 、父親は暖かな 、けれど意味深な笑顔を浮かべていた 。
「 言いたいことは 、分かるね 。」
「 … … 。」
「 マリア 。」
「 申し訳 、御座いませんでした … 。」
「 君もミッドナイト家の一員なんだ 。
命令の内容は覚えているかい?」
唇を噛んで 、俯く 。
命令の内容なんて 、忘れたくても忘れられない 。
守らないと厳しい罰が待っていて 、四六時中頭と心をかき乱す 。
「 … … 陛下とお近づきになり 、妃となって我が家が王政を乗っ取る手助けをする事です 。」
口に出して 、再度実感する 。
この男は娘をただの道具だと思っていて 、自分が王政を乗っ取るためなら何でもする 。
私の気持ちなんて 、関係ない 。
自分が国を乗っ取るために 、陛下を利用する 。
ただただ 、気分が悪かった 。
「 そうだ 。それが出来れば我が家はもっと豊かになる 。そうだろうマリア 。」
「 勿論です 、お父様 … … 。」
「 わかっているなら何故 、出来ないんだ?」
父は目を細めた 。
そんな仕草にさえ 、何処か怯えてしまう自分がいる 。
これ以上父の機嫌を損ねてはいけない 。
どんな罰が待っているか分からない 。
そんな不安に指が小さく震えた 。
口を開いたのはスピカだった 。
「 旦那様 。発言をお許しくださいませ 。」
「 なんだいスピカ 。」
「 マリア様への教育が足りなかった私の責任でもあると思います 。私からも謝罪致します 。」
「 そうか 、それも一理あるな 。どうするんだスピカ 。」
「 これからは今まで以上に厳しく指導致します 。」
教育不足 。指導 。
私の気持ちは何処へ行くんだ 。
こんなのおかしい 。
そう思いながらも 、マリアは何も言うことが出来なかった 。
結局 、解放されるたのは学校が始まる40分ほど前 。
アストルムの貴族や王族の通う学校には陛下も居る 。
近づくチャンスがある 。
そんな理由で 、マリアは居心地の悪い空間から逃げることが出来た 。
学校へ行くのは楽しい 。
友達も居るし 、陛下だって私に良くしてくれる 。
それでも 、それが父の計画通りという事にまた複雑な気分になる 。
制服に袖を通しながら溜息を着いた 。
学校には監視のスピカも居る 。
何時も何処かで見られている 。
それがどうにも落ち着かなかった 。

