目覚めたのは 、薄暗い檻の中 。
マリアは溜息を漏らす 。
ここは我が家の地下牢 。
彼女がここに居る理由は至って簡単な事だった 。
─── 父親からの命令を遂行出来なかったから 。
マリアはこの国 、アストルム有数の上流階級の貴族に産まれた 。
母親は彼女の出産時に亡くなり 、家族は父親だけ 。
しかしこの屋敷には父親だけでなく使用人達と 、たった独りの親族である彼女 、
「 マリア様 。お目覚めですか 。」
「 … … おはよう 、スピカ 。」
スピカが住んでいる 。
従姉妹ではあるが 、彼女は使用人としてこの家で働いている 。
本当に 、おかしな家だ 。
「 旦那様がお呼びです 。ご準備を 。」
「 拒否権は … …」
「 あるとお思いですか?」
表情筋があるのか不安になるほど感情を表に出さない彼女に 、淡々と言われてしまえば肩がすくむ 。
氷のような青い瞳に見つめられてしまってはもう従わざるを得ない 。
マリアは重たい足取りでスピカの後を追った 。
従姉妹と言えど 、彼女はマリアの父の言いなりでマリアを監視する 。
命令に従っているか 、失敗をしていないか 。
ピンと伸びた背筋に鋭い青色の瞳 。
膝下まで伸びた綺麗な黒髪を首元で団子にまとめた彼女 。
マリアは彼女の事が怖かった 。

