「テスト始めるぞー。机の上のものは全部しまって。」
先生が教壇に立ってそう言うと、生徒達は慌てて机の中に教科書をしまい込む。
なんか……視界がぼやけて、先生が2人見える気がする…。
それはそれで幸せだったり。
「始め。」
先生のいつもより低い声でテストが始まった。
頭がクラクラしながらも、とりあえず必死に答案用紙に答えを書いた。
「………っさむ…。」
なんだろう、私熱でもあるのかなぁ。
でも…今日だけは頑張らないと、大好きな先生のデートと授業がかかってるんだもん。
答案用紙に答えを書いていると、教室の中を見回る先生の足元が目線に止まった。
「………はぁ。」
ん、んん?
先生は私を一瞬見てから、小さくため息をついたのだ。
なに、先生…今の、何のため息?
「はい、やめ。」
先生の合図で、生徒たちの手が止まる。
いつもより、頭回らなかったな…大丈夫かな。
そんなこと思っていたら、答案用紙を回収しに来た先生が口を開いた。
「神崎、熱測るから職員室に来い。」
「……はぁい。」
何だ先生、私が具合悪いの気付いてくれてたんだね。
少しでも気にかけてくれたことが、すごい嬉しかった。
そんなに優しくされたら、もっと熱あがっちゃうよ。



