~♪ キンコーン カンコーン
「よし、教科書持ったし、これでよし」
数学の教科書をカバンに詰め込んで準備をしていた放課後。
「神崎ー、ちょっと来い」
「…え?行きます、行きます先生!待ってー!」
帰りのHRが終わった先生が、なんと私を呼び出したのだ。
先生からの呼び出しなんて、この学校に来てから初めて。
やばいっ、嬉しすぎるって!
廊下でスキップなんかしながら、職員室に先に入った先生の背中を追いかけた。
「どしたの!先生から呼び出すなんて、デートのお誘い?」
「意味わかんないこと言ってないで、それ外せー」
『だからそれ』って言いながら指をさしたのは、私の首につけてあるネックレス。
「えーやだっ」
「こらぁ、外さないなら没収って言ったよな?」
「だってこれいくらしたと思う?高かったんだからね!」
嘘だよ先生、税込みで1100円でした。
「そんなに大事なら、学校につけてくんじゃない。わかった?」
そう言って私の頭の上に手を置いて、怒った顔をしながら、じーっと見つめてくる先生に今日もドキドキしっぱなし。
だってこうでもしないと、構ってくれないでしょ?先生。
「はぁい、わかりました…多分♪」
はぁっとため息をついた先生が言った。
「お前が一番世話のやける生徒だよ…まったく」
理由はどうであれ、今『一番』って言ってくれたよね。もしかして私、ちょっと一歩前に前進したのかも?
去年の私に教えてあげたいよ。来年先生が担任になる、素敵な未来が待ち受けてますよってことを。



