ガラッと教室の扉が開いて、担任の先生が入ってきたので、白石くんの周りにいた女の子たちが去っていった。
「席替え終わったかー?」
担任はノリが軽い。
「朝の掃除はダルいから、隣との仲良しタイムに変えるぞー」
……何それ?
『仲良しタイム』? 聞いたことないな。
「せんせーい! 仲良しタイムってなにー?」
夏希が大きい声で先生に聞いた。
「お、知らない? 隣の人と一対一でただ喋る時間。そっかあ。今年はやってなかったな」
ん?
『隣の人と一対一』?
前の席の夏希がバッと振り返り、小さい声で、
「良かったじゃん! 頑張れ」
って言ってくる。
人見知りの私にはちょっと厳しすぎるかもしれない。
「はい、じゃあどうぞー。俺は、仕事を進めまっす」
先生はほんとに机でパソコンをいじり始めた。
夏希はもう話し始めていて、もう盛り上がってきたみたい。
はや。
「穂高さん、だよね?」
周りの様子を伺っていただけの私に、白石くんは話しかけてくれた。
一対一で、っていうルールだから、話さないとだし、白石くんは王子様って呼ばれてるくらいの人だから。
と、考えてると、白石くんは不思議そうに私の方を覗き込んでくる。
「あれ、どうかした? 大丈夫?」
ヤバい! 変な人って思われたかも?
「いや、大丈夫! ごめんなさい! 穂高未空です!」
緊張しまくって声がでかくなっちゃった。
白石くんは、ふわっと笑って、
「穂高さん、面白いね」
って目を見て言ってくれた。
好きなものの話とかしても、面白そうに聞いてくれる。
白石くんは、聞くだけじゃなくて、自分の話もする。
だから、自分だけじゃないって思えて、なんか安心する。
「映画、好きなんだよね」
映画の話を持ち出すと、白石くんはまた、完璧な王子様スマイルで同意する。
「そうなの? 僕も好きだよ」
意外な共通の趣味が見つかったところで、先生の仕事が一段落ついたらしく、
「終わったー!!!」
と叫んで、
「仲良しタイム、終了!」
と打ち切った。
でも、この仲良しタイムは結構効いたみたいで、この後の授業中や、休み時間とかも、話しかけたらにこやかに答えてくれた。
