奇跡を起こして、願いを叶えて。




急いだら、思ったより早く終わった。

この時間は、まだ開いてるかも。

職員室は、ここから昇降口の間にあるから、さくちゃんに挨拶してから帰ろう。

それを白石くんに伝えると、快くOKしてくれた。


「さくら先生ー! さようなら!」


って挨拶したら、さくちゃんはにやにやしながらグッドサインをつくってた。

隣にいるんだから、そんなことしたらバレちゃうよ〜!

だけど、白石くんは今までとはなんか違う、フルスマイルで立ってる。

これなら、バレてないかも。

危なかった……!


外は、まだ5時半だというのに暗くて、ちょっと寒くて、もうすぐ冬だなって実感した。

私も白石くんも電車で、しかも同じ方向だったから、二人で同じ電車に乗った。

今まで会ったことなかったから知らなかったけど、白石くんは私の駅の3駅先らしい。

話し上手で聞き上手な白石くんが、上手く話してくれて、気まずくなることは1回もなかった。

そういうとこも好きだなって思ってたら、私が反応しなくなったのを不思議に思ったんであろう白石くんが、


「どうかしたの?」


って、顔を覗き込んでくる。


「いやっ! なんでもない!」


顔に熱が集まってるのが自分でもわかる。

白石くんはいたずらっ子みたいに笑って、


「ほーだかさんっ。どうしたの〜?」


ってまた覗き込んでくる。


「ほんとに…、なんでもないよ〜……」


自分の両手で顔を覆い隠して、目で訴える。

白石くんは、優しく笑う。


「俺、そろそろ穂高さんと仲良くなれたかなって思ってるんだけどさ。」

「……? うん。私も仲良しになったと思うよ?」

「名前で呼んでもいい?」